導入1 分で読める

誰も特定せずに、カメラで時間研究を行うには?

DBR77 Team · 公開日

カメラを使えば、各工程がシフトのうちどれだけの時間を付加価値作業に使ったかを数えて、時間研究ができます。DBR77 IIoTのVision AIは、工程で手が動いていれば作業、手が空いていれば手待ちとして扱います。さらに、エリア内の人数、完成数、不良品数を数え、サイクルタイムを測ります。顔は認識せず、誰も特定せず、映像も録画しません。結果として工程別の稼働率が分かり、プロセスのどこで時間が失われているかが見えてきます。

この記事は、組立でのカメラ活用を扱うシリーズの一つです。ほかの記事では、組立の各手順が正しい順序で行われたかの確認と、ボルトの基準品との照合を取り上げています。

誰も特定せずに、カメラで時間研究を行うには?

ストップウォッチの時間研究で一部しか見えないのはなぜか

従来の時間研究では、ストップウォッチやワークサンプリングの記録用紙を手にした観測者が、工程の横に立ちます。そのため測れるのは数時間から数日で、それも誰かが立ち会えるシフトに限られます。国際労働事務局(International Labour Office)のハンドブックIntroduction to Work Studyは、うまく進めるための原則を示しています。調べる対象は作業であって作業者ではないこと、そして何を何のために調べるのかを従業員の代表に十分に知らせておくことです。

見られていると、人の働き方も変わります。ホーソン効果に関するシステマティックレビューは、研究に参加すること自体が、調べている行動に影響することは確かにあると結論づけています。ただし、それがどんなときに、どの程度起きるのかは、ほとんど分かっていません。実際には、観測中の調子の良い1時間が記録され、夜勤や部品切れのときの手待ちは数字に表れない、ということが起きます。

誰も特定せずに、カメラで時間研究を行うには? — DBR77 IIoT誰も特定せずに、カメラで時間研究を行うには? — DBR77 IIoT

カメラが工程で数えるもの

カメラはエリアを上から見て、見えたものを次の区分に分けます。

  1. 作業。 工程にいる人の手が動いていれば(部品の取付けなど)、その工程の作業時間として数えます。
  2. 手待ち。 工程にいる人の手が空いている場合は手待ち時間として数え、「工程2 · 手待ち(手が空いている)」のようにイベントログに記録します。
  3. 通過。 エリアを歩いて通り抜ける人は、エリア内の人数には数えますが、その歩行はどの工程にも計上しません。
  4. 出来高。 完成した部品を1個ずつ数え、廃棄箱に入った部品は不良品として数えます。

これらのカウントから、エリア全体の付加価値作業の割合、工程別の稼働率、完成数、不良品数、サイクルタイムを表示します。

アニメーション:カメラが3工程の人を作業か手待ちに分け、4人目は通り抜け、工程別の稼働率のバーが伸びていく

DBR77 Vision AIのプレゼンテーションに基づく説明用の例。手が動いていれば作業、手が空いていれば手待ちとして数え、エリアを通り抜ける歩行はどの工程にも計上しません。

この例では、組立エリアAの3つの工程で3人が作業し、4人目がエリアを通り抜けます。工程2はほかの工程より手待ちが多く、稼働率のバーも低いままです。

カメラがすること カメラがしないこと
エリア内の人数を数える 顔を認識したり、個人を特定したりする
工程ごとに、手が動いているか空いているかを見分ける 感情を推定する
完成数と不良品数を数える 映像を録画する
工程ごとの稼働率とサイクルタイムを表示する エリアを通り抜ける歩行を工程に計上する

自社のエリアの稼働率を見てみる

エリアの写真を数枚と、短い動画を1〜2本お送りください。撮影は、お客様の撮影ルールに従って行ってください。システムが何を数え、何を見逃すかをお見せします。

デモを予約

稼働率から分かること、分からないこと

稼働率の低い工程は、プロセスを見直す手がかりになります。リーンの用語集では、ムダを顧客にとっての価値を生まずに資源を消費するあらゆる活動と定義しています。古典的なムダとして挙げられているのが、機械が加工している間、設備が故障したとき、必要な部品が届かないときに作業者が手待ちになることです。部品や工具、書類を探すといった動作も、ムダに数えられています。

工程2で手が空く原因は、たいてい部品の供給遅れ、前工程待ち、工程間の作業配分の偏りのどれかです。いずれも、ライン編成、部品供給、作業設計で扱う問題です。

付加価値を生まない時間をすべてなくせるわけではありません。同じ用語集は、ムダの一部を現在の技術と生産設備では避けられないものとしています。たとえば、溶接部が安全かを確かめる検査です。稼働率はどこを見ればよいかを示し、そこで何が起きているかは現場のチームが説明します。

この数値は、設備データと並べて確認します。記事リアルタイムのOEEとスプレッドシートのOEEの比較では、手入力の記録ではチョコ停が見えなくなることを説明しています。手作業の工程の手待ち時間にも、同じことが言えます。

顔も名前も扱わない:何を解析し、何を残すか

DBR77 IIoTでカメラを担う部分は、プロセスを測るために作られています。

  • 顔認識なし。 システムが検出するのは人と手で、それが誰なのかは識別しません。
  • 録画なし。 画像は工場内のコンピューターで解析し、録画はしません。残るのは、カウント、割合、サイクルタイム、イベントです。
  • 人ではなく工程。 結果は工程ごと、エリアごとに表示します。

それでも注意すべき点が2つあります。カメラは解析の瞬間には人を見ているため、何も保存しなくても、その瞬間の画像は個人データに当たります。また、1人か2人で作業する工程では、工程の数値から個人が分かってしまうことがあります。結果をどうまとめるか(たとえば工程とシフトごと)と、誰が結果を見られるかを、事前に取り決めてください。

工場内で処理する方法と、画像をクラウドに送る方法の違いは、記事製造業におけるエッジとクラウドで説明しています。

最初のカメラを設置する前に決めておくこと

工程で作業と手待ちを見分けるカメラは、労働法とAI規制に関わります。主なポイントは次のとおりです。自社の拠点での扱いは、法務部門とデータ保護責任者に確認してください。

  • EU AI Act(欧州AI規則)。 規則(EU)2024/1689は、雇用関係において人の業績と行動を監視・評価するために使うAIシステムを、高リスクの用途に挙げています。同じ規則は、医療上または安全上の理由がある場合を除き、職場で感情を推定することを禁じています。ここで説明する時間研究は、感情を推定しません。AIに関するデジタル・オムニバス(規則(EU)2026/1744)により、これらの高リスク用途に対する義務は2027年12月2日から適用されます。個々のシステムがこの分類に当たるかどうかは、その設定と使い方によって決まります。
  • ドイツ。 事業所組織法(BetrVG)第87条第1項第6号により、事業所委員会は従業員の行動や業績を監視するために設計された技術的設備について共同決定権を持ちます。パイロットの前に、事業所協定を結ぶ段取りを組んでおいてください。
  • ポーランド。 労働法典には、根拠となりうる条文が2つあります。第22条の2はビデオ監視の規定で、生産管理などの目的に必要な場合に認めています。第22条の3第4項は、労働時間を十分に活用できる作業体制をつくるために必要な場合、ほかの形態の監視にも監視の規定を適用します。録画しないカメラにどちらの根拠が当てはまるかは、弁護士に確認してください。どちらの場合も、監視を始める少なくとも2週間前に従業員に知らせ、監視するエリアを表示する必要があります。また第22条の2は、衛生設備のある部屋、更衣室、食堂、喫煙室、労働組合に提供している部屋を監視の対象から除いています。
  • 現場の従業員。 カメラが何を数え、何を数えないか、数値を何に使うかを、導入初日より前に現場で説明してください。最初の数週間については、記事作業者がまだIoTの信号を信頼していないときにすべきことで取り上げています。

1つのエリアで試すには

テストの進め方は、ほかのVision AIの検査と同じです。デモと対象エリアの確認、NDAを結んだうえでの数枚の写真と短い動画によるテスト、1エリアでのPoC(概念実証)と進み、結果にご納得いただけた場合にだけ横展開します。

  • カメラ。 一般的なIPカメラを使えます。この例では、エリアを上から見る位置に付けています。画像1枚の解析にかかる時間は約25ミリ秒で、解析は工場内に置いたコンピューターで行います。
  • 定義。 各工程で何を見るかをエンジニアが言葉で入力し、稼働中でもチームが新しい検査を追加できます。学習用のデータを集める必要はなく、学習プロジェクトを立ち上げることもありません。
  • 対応。 数値をどう扱うかは自社で決めます。カウント、ログ保存、警告、担当者への通知を、プログラミングなしで設定できます。システムが設備を止めることはなく、判断するのは人です。
  • 費用。 エッジ機器、AIチップ、カメラ、そしてエッジ機器1台ごとの月額ソフトウェアライセンスからなります。1台のエッジ機器で1〜40台のカメラを並行して解析できます。

どんなときにカメラがセンサーより向いているか、向いていないかは、記事センサーとしてのカメラで解説しています。

DBR77 IIoTの中での位置付け

Vision AIは、DBR77 IIoTでカメラを担う部分です。システム全体で同じ原則が当てはまります。

  • 当社の機器はデータを読み取るだけです。設備に指令を送ることはなく、制御システムにも手を加えません。
  • 画像は工場内で解析し、映像は録画しません。
  • Vision AIは、お客様のサーバーにも導入できるDBR77独自の産業用AI、DBR77 Vectorの上で動きます。書面による同意がない限り、お客様のデータをモデルの学習に使うことはありません。DBR77はISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。
  • Vision AIのイベントは、設備データと一緒にIRISに記録されます。

よくある質問

カメラは、誰が作業しているかを把握していますか?

いいえ。人と手を検出し、工程ごと、エリアごとに数えます。顔は認識せず、誰も特定しません。

手待ち時間は、作業者のマイナス評価になりますか?

システムが表示するのは、工程ごと、エリアごとの稼働率です。手が空いているのは、たいてい工程が部品や前工程、設備を待っているためで、これはプロセスの問題です。数値をどうまとめ、何に使うかは、開始前にチームや従業員の代表と取り決めてください。

エリアを通り抜ける歩行は、作業として数えられますか?

いいえ。通り抜ける人はエリア内の人数には数えますが、その歩行はどの工程にも計上しません。

事業所委員会や従業員の同意は必要ですか?

ドイツでは、行動や業績を監視するために設計された技術的設備について、事業所委員会が共同決定権を持ちます。ポーランドでは労働法典により、目的を明示すること、少なくとも2週間前に従業員に知らせること、監視するエリアを表示することが求められます。自社の拠点に適用されるルールは、法務部門に確認してください。

従来の時間研究の代わりになりますか?

観測した数時間ではなくシフト全体を対象にし、工程ごとにどこで時間が失われているかを示します。新しいプロセスを計画するために作業を動作要素に分解するのは、引き続きIE担当者の仕事です。

まとめ

シフトによって出来高がばらつき、その理由を誰も説明できない手作業のエリアを1つ選んでください。テストの前に、各工程で何を作業とみなすか、どの数値を見たいか(稼働率、サイクルタイム、不良品)を書き出しておきます。そのうえで、カメラが何を数え、何を数えないかをチームに伝え、事業所委員会がある場合は委員会にも伝えてください。これで、エリアの写真と短い動画を使った最初のテストの準備が整います。

手作業のエリアを1つ選んでデモへ

エリアと工程、そこで何を作業とみなすかをお見せください。似た例で時間研究をご覧いただき、お客様の工場で何が必要になるかをご説明します。

デモを予約

出典