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ロボットに近づきすぎた人に、カメラで警告するには?

DBR77 Team · 公開日

カメラを使えば、人とロボットの距離を測り、近づきすぎる前に本人に警告できます。DBR77 IIoTでは、Vision AIがセルを上から見ています。人が警告ゾーンに入ると検出から150ミリ秒未満で警告し、警報ゾーンに入ると警報を出して、その事象をヒヤリハットとして時刻と場所とともに記録します。ロボットを減速させたり止めたりはせず、ロボットに指令も送りません。減速と停止は、セルに設置された認証済みの安全装置の役割です。

この記事は、生産現場でのカメラ活用を扱うシリーズの一つです。ほかの記事では、組立の各手順が正しい順序で行われたかの確認と、誰も特定せずに行う時間研究を取り上げています。

ロボットに近づきすぎた人に、カメラで警告するには?

ロボットまわりの事故は、どんな作業中に起きるか

米国労働安全衛生局(OSHA)は、ロボットによる事故の多くは非定常作業の最中に起きていると指摘しています。プログラミング、保全、試運転、段取り、調整といった作業です。こうした作業では、作業者がロボットの可動範囲に入ることがあります。

米国の死亡災害のデータも同じことを示しています。職場でのロボット関連の死亡災害を調べた研究によると、1992〜2017年に米国ではロボットに関連する死亡災害が41件起きました。そのうち24件(58.5%)の記録に、ロボットの保全への言及があります。大半(83%)は固定式のロボットによるもので、78%はロボットが自らの動力で動いている最中に人に当たったケースでした。

ロボットに近づきすぎた人に、カメラで警告するには? — DBR77 IIoTロボットに近づきすぎた人に、カメラで警告するには? — DBR77 IIoT

ロボットセルでカメラがすること

カメラはセルを上から見て、一人ひとりとロボットの距離を測ります。ロボットのまわりには2つのゾーンを設定します。

  1. 距離。 システムが人を検出し、ロボットからの距離を画像ごとに測ります。
  2. 警告ゾーン。 ロボットから3.0 m以内に人が入ると、検出から150ミリ秒未満で本人に警告します。
  3. 警報ゾーン。 1.5 m以内に入ると警報を出し、ヒヤリハットとして時刻とセル内の場所を記録します。
  4. 異常なし。 人が離れると、まず警報ゾーン、続いて警告ゾーンに人がいなくなったことがイベントログに残ります。

3.0 mと1.5 mはデモの値で、セルごとに設定できます。

アニメーション:人がロボットに近づくと、ゾーン状態が異常なしから警告、警報に変わり、ヒヤリハットが記録される

DBR77 Vision AIのプレゼンテーションに基づく説明用の例。カメラは警告し、ヒヤリハットを記録します。ロボットに指令は送らず、減速と停止はセルの安全装置が担います。

この例では、1人がロボットセル4に近づき、また離れていきます。3.0 m以内に入るとゾーン状態が警告に、1.5 m以内で警報に変わり、ヒヤリハットのカウンターが1になります。Vision AIはロボットに何も送りません。ロボットが減速するか止まるかを決めるのは、セルの認証済みの安全装置だけです。

カメラがすること 認証済みの安全装置が担うこと
人とロボットの距離を測る ロボットを減速させる
警告ゾーンにいる人に警告する ロボットを停止させる
警報ゾーンで警報を出す リスクアセスメントで定めた安全距離を保つ
ヒヤリハットを時刻と場所とともに記録する 安全柵、ライトカーテン、セーフティレーザスキャナでセルを防護する

自社のセルがカメラにどう見えるかを確かめる

ロボットセルの写真を数枚と、短い動画を1〜2本お送りください。撮影は、お客様の撮影ルールに従って行ってください。システムが何を検出し、何を見逃すかをお見せします。

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カメラが警告にとどめ、ロボットを止めない理由

人が近づいたときにロボットを止めるのは安全機能で、その要求事項は規格で決まっています。2025年版のISO 10218-2は、産業用ロボットのアプリケーションとロボットセルの安全要求事項を規定しており、ロボットメーカー、システムインテグレーター、ユーザーを対象にしています。安全機能を実行する制御システムの安全関連部は、ISO 13849-1に基づきパフォーマンスレベル(PL)で評価されます。機能ごとに必要なレベルは、そのセルのリスクアセスメントで決まります。

安全防護物をどこに置くかも計算で決めます。ISO 13855は、人が近づく速度と、機械と安全防護物を合わせた全体の停止時間をもとに、安全防護物の位置決めと寸法の要求事項を規定しています。この例の3.0 mと1.5 mは警告用のゾーンで、この方法で計算した値ではありません。

カメラを保護装置として使うことはできますが、その用途に適していることを実証しなければなりません。ドイツ法定災害保険(DGUV)の労働安全衛生研究所であるIFAは、試験したカメラによる測定方式の一つについて、安全関連の用途に適していることは証明されていないと結論づけました。一方で、ほかの方式は試験に合格しています。AIによる検出では、さらに基準が追いついていません。IFAの研究者は2022年に、機能安全と人工知能の関係を明確にする規則はまだないと書いています。

そのため、Vision AIの役割は警告までです。当社の機器はデータを読み取るだけで、ロボットに指令を送ることも、制御システムに手を加えることもありません。警告は、あくまで人に向けた追加の注意喚起です。安全柵、ライトカーテン、セーフティレーザスキャナ、ロックアウト・タグアウト(LOTO)の手順の代わりにはならず、安全距離の計算にも含めません。

150ミリ秒未満という値は、システムが人を検出した瞬間から測ったものです。パレットやほかの人の陰になってカメラから見えない人には、警告は届きません。さらに、本人が反応するまでの時間が別にかかります。

ヒヤリハットから分かること

全米安全評議会(National Safety Council)は、ヒヤリハット(near miss)を負傷や死亡には至らなかったが、至るおそれがあった計画外の事象と定義しています。報告されるかどうかは、誰かが気付いて書き留めるかどうか次第です。カメラは、報告の有無にかかわらず、警報ゾーンへの立入りをすべて時刻と場所とともに記録します。

数週間たつと、人がセルのどちら側から、どの時間帯に入っているかがイベントログから見えてきます。シフト表と突き合わせれば、どの作業で人がセルに入るのかが分かります。段取り替えのたびに人が入るセルなら、材料の供給経路を変える、操作盤をもう1つ設ける、段取りの手順を見直す、といった対策が要るかもしれません。ここから先は、安全衛生の担当者とセルのインテグレーターが検討することです。

ヒヤリハットの件数から事故を予測することはできません。件数が教えてくれるのは、セルのどこを、いつ詳しく見るべきかです。

警告は、人が信頼して初めて役に立ちます。記事現場で設備アラートが機能しない理由では、アラームが多すぎると人が無視するようになることを説明しています。ロボットセルの警告にも同じことが言えます。

最初のカメラを設置する前に決めておくこと

ロボットセルに付けるカメラは、機械安全、労働法、データ保護に関わります。主なポイントは次のとおりです。機械安全の担当エンジニア、セルのインテグレーター、データ保護責任者に確認してください。

  • リスクアセスメント。 カメラは安全機能に含めず、人向けの警告としてセルの技術文書に記載してください。安全距離と保護装置は、リスクアセスメントで定めたまま変えません。
  • 機械規則。 2027年1月20日から、EU域内の機械には規則(EU)2023/1230が適用されます(それまでは機械指令2006/42/EC)。この規則は、第三者による適合性評価が必要な製品として、機械学習の手法を用いて完全にまたは部分的に自己進化する挙動を持ち、安全機能を確保する安全部品を挙げています。ここで説明するVision AIは安全機能を担っておらず、安全部品としての認証も受けていません。
  • 警告と対応。 セルにいる人に警告をどう伝えるか、警報が出たら誰に通知するか、イベントログを毎週誰が確認するかを決めてください。
  • 従業員。 カメラは画像を解析している間、人を見ています。そのため、映像を録画しなくても、その瞬間の画像は個人データに当たります。カメラが何をするのか、イベントログを何に使うのかを、現場で説明してください。時間研究の記事で取り上げた労働法のポイントは、ここでも当てはまります。

1つのセルで試すには

テストの進め方は、ほかのVision AIの検査と同じです。デモと対象セルの確認、NDAを結んだうえでの数枚の写真と短い動画によるテスト、1セルでのPoC(概念実証)と進み、結果にご納得いただけた場合にだけ横展開します。

  • カメラ。 一般的なIPカメラを使えます。この例では、セルを上から見る位置に付けています。画像1枚の解析にかかる時間は約25ミリ秒で、解析は工場内に置いたコンピューターで行います。
  • ゾーン。 警告ゾーンと警報ゾーンの広さは、セルごとに設定します。
  • 対応。 何をするかは自社で決めます。警告、ログへの記録、担当者への通知を、プログラミングなしで設定できます。システムがロボットを減速させたり止めたりすることはなく、ロボットに指令も送りません。
  • 費用。 エッジ機器、AIチップ、カメラ、そしてエッジ機器1台ごとの月額ソフトウェアライセンスからなります。1台のエッジ機器で1〜40台のカメラを並行して解析できます。

どんなときにカメラがセンサーより向いているか、向いていないかは、記事センサーとしてのカメラで解説しています。

DBR77 IIoTの中での位置付け

Vision AIは、DBR77 IIoTでカメラを担う部分です。システム全体で同じ原則が当てはまります。

  • 当社の機器はデータを読み取るだけです。設備に指令を送ることはなく、制御システムにも手を加えません。
  • 画像は工場内で解析し、映像は録画しません。
  • Vision AIは、お客様のサーバーにも導入できるDBR77独自の産業用AI、DBR77 Vectorの上で動きます。書面による同意がない限り、お客様のデータをモデルの学習に使うことはありません。DBR77はISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。
  • Vision AIのイベントは、設備データと一緒にIRISに記録されます。

よくある質問

カメラでロボットを止められますか?

いいえ。Vision AIは人に警告し、警報を出し、ヒヤリハットを記録します。ロボットに指令は送りません。減速と停止は、セルの認証済みの安全装置が担います。

ライトカーテンやセーフティレーザスキャナの代わりになりますか?

いいえ。今ある安全防護に、人への警告を加えるものです。安全距離と保護装置は、リスクアセスメントで定めたまま変えません。

「150ミリ秒未満」には何が含まれますか?

システムがゾーン内の人を検出してから警告するまでの時間です。カメラから見えない人は対象外です。本人が反応するまでの時間も、これとは別にかかります。

ゾーンは自社で設定できますか?

はい。3.0 mの警告ゾーンと1.5 mの警報ゾーンはデモの値です。ゾーンはセルごとに設定します。

イベントログには何が記録されますか?

時刻、ゾーン、人がいたセル内の場所です。このログは、人がどこから、いつセルに入っているかといった傾向をつかむためのものです。

まとめ

セットアップ、段取り替え、材料の搬入出で人がよく入るロボットセルを1つ選んでください。テストの前に、警告ゾーンと警報ゾーンをどこに設けるか、警告を誰に届けるか、イベントログを誰が確認するかを書き出しておきます。そのうえで、カメラが安全機能の外にある警告としてだけ技術文書に記載されているかを、セルのインテグレーターと確認してください。これで、セルの写真と短い動画を使った最初のテストの準備が整います。

ロボットセルを1つ選んでデモへ

セルと、人が通る経路、立ち入る場所をお見せください。似た例でゾーンとイベントログをご覧いただき、お客様の工場で何が必要になるかをご説明します。

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